アドラー心理学とは?『嫌われる勇気』のポイントを解説

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アドラー心理学について解説された『嫌われる勇気』はロングセラーとなっているため、ご存知の方も多いでしょう。

ですが、アドラー心理学の考えを深く理解し、実践するのは容易ではありません。

すでに『嫌われる勇気』を読んだことのある方も、改めてアドラー心理学を学び直し、仕事への取り組み方や生き方を見つめ直してみてはいかがでしょうか。

この記事では、アドラー心理学を学ぶメリットや『嫌われる勇気』のポイントを解説します。

『嫌われる勇気』とは

アドラー心理学の第一人者である岸見一郎氏とライターの古賀史健氏の共著で、アドラー心理学を解説した書籍です。

2013年にダイヤモンド社より出版されベストセラーになりました。

続編の『幸せになる勇気』も出版されています。

アドラー心理学とは

アドラー心理学とは、オーストリアの精神科医であるアルフレッド・アドラーが提唱した心理学であり、「個人心理学」(Individual Psychology)とも呼ばれています。

アドラーはフロイトやユングと共に『心理学の3大巨頭』と称されている心理学の大家です。

『嫌われる勇気』のヒットをきっかけに日本でもアドラー心理学が注目されるようになりました。

『嫌われる勇気』が人気な理由

対話形式で書かれており、平易な言葉が使われているため、アドラー心理学に初めて触れる人にも読みやすくなっています。

そのため入門書としてもおすすめですが、アドラー心理学の「哲学」が書かれた本格的な内容なため、幅広い層から支持されています。

どうすれば幸せになれるかという普遍的な悩みに対して、シンプルかつ具体的な答えを出しているのも、多くの人に読まれている理由だと考えられます。

アドラー心理学のメリット

アドラー心理学を学ぶメリットを3つご紹介します。

物事をシンプルに捉えられる

アドラー心理学の「目的論」や「課題の分離」といった考えを理解することで、世界をシンプルなものとして捉えることができるようになります。

複雑なものの見方をやめることで、どう生きるか、どうすれば幸せになれるかが明確になり悩みを減らすことができます。

自分を変えることができる

アドラー心理学では、過去の出来事が原因となって今の結果があるという考えを否定します。

現在は過去によって決まるわけではないので、今までどう生きてきたかと、これからどう生きるかは関係がないのです。

変わろうという意志があればいつからでも自分を変えることができます。

人間関係が良好になる

アドラーは「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と考え、対人関係を良くするための具体的な方法を提示しました。

対人関係の悩みを解消するには、他人と競争することや、他人を無理に変えようとすることをやめるべきだとしています。

『嫌われる勇気』のポイント

『嫌われる勇気』にはアドラー心理学のエッセンスが詰まっています。

ここでは、その中から5つのポイントを解説します。

人は変われる

メリットとしてもご紹介しましたが、アドラー心理学では人は変われると考えます。

フロイトは過去の出来事が現在の状況を作っているという原因論を唱えましたが、アドラーはそれを否定して目的論を唱えました。

目的論とは、何らかの目的があって現在の状況を作り出しているという考えです。

原因論だと過去の出来事がトラウマになっていると考えますが、目的論ではトラウマを否定します。

目的論の考えでは、今どういった生き方をしているかは過去の出来事によって決まっているのではなく、自分自身で選んだものだということになります。

なので、これからどう生きていくかは自分で選ぶことができ、人はいつからでも変わることができると考えられるのです。

すべての悩みは対人関係の悩み

アドラーは、「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」としています。

悩みの種類は、学歴や年収、外見に関するものなど様々ですが、どれも他者がいることによって生まれるものです。

宇宙でただひとりだった場合、一万円の紙幣は一万円の価値を持たなくなりますし、お金の悩みはなくなります。

また、劣等感も対人関係の悩みですが、劣等感を感じるのは他者と比べて競争するからです。

理想の自分と比べるのは健全であり努力や成長を促しますが、他者と比較すれば悩みになります。

こうした悩みを解決するためには、他者を仲間とみなし、他者と競争するのをやめることが必要です。

自分と他者の課題を分離する

人間関係を円滑にするための考え方として「課題の分離」は有効です。

課題の分離とは、「その選択によってもたらされる結末を最終的に引き受けるのは誰か」を考え、自分の課題と他者の課題とを分けることです。

例えば、子どもが勉強するかしないかは子どもの課題であって親の課題ではありません。

誰の課題なのかを考え、他者の課題に踏み込まないようにすることが大切です。

最終的に自分を変えられるのは自分しかいません。

変わることを強要するのではなく、援助する用意ができていることを伝えればよいのです。

嫌われる勇気を持つ

アドラーは承認欲求を否定しています。

誰もが「他者から認められたい」「誰からも嫌われたくない」と思うでしょう。

ですが、あなたは他者の期待を満たすために生きているのではありませんし、他者もまた、あなたの期待を満たすために生きているのではありません。

わざと他者から嫌われるような生き方をすることを推奨しているわけではありませんが、

「私のことを嫌うかどうか」というのは他者の課題であり、そこに介入することはできません。

嫌われたくはないとしても、嫌われてもかまわないと思うことができれば、自分がどうありたいかを貫いて自由に生きることができます。

他者から嫌われるかもしれないというコストを支払わないかぎり、自由に生きることはできません。

幸せになる勇気には、「嫌われる勇気」も含まれているのです。

共同体感覚

アドラー心理学では、対人関係の出発点は「課題の分離」であり、対人関係のゴールは「共同体感覚」だと考えます。

共同体感覚とは、他者を仲間だと見なし、そこに「自分の居場所がある」と感じられることです。

この感覚を感じるためには、「自己受容」「他者信頼」「他者貢献」が重要であり、この3つはどれも欠かすことのできないものです。

【自己受容】

自分の欠点もありのままに受け入れ、前に進んでいく態度。

変えられないものは受け入れ、変えられるものは変えていく勇気を持つことが必要。

【他者信頼】

他者を仲間だと見なし、深い関係を築くために、他者を無条件に信じること。

【他者貢献】

仲間である他者に対して貢献しようとすること。

他者貢献は自己犠牲ではなく、自分の価値を感じるために行うもの。

共同体には、学校や職場だけでなく、過去や未来、宇宙全体までも含まれます。

共同体の範囲を広げていくと、そこに属している他者を仲間だと見なすことが難しくなりますし、宇宙全体のすべてを仲間とすることは現実的ではないといえます。

ですが、より広い範囲でのつながりを感じることで幸福は増えていきます。

まずは、家庭、地域社会、国家というように共同体の範囲を広げていき、より大きな共同体のコモンセンス(共通感覚)に従うようにするとよいでしょう。

すべての悩みが対人関係の悩みだということは、幸せのカギもまた対人関係にあるということです。

幸せになるためにどうすればいいか迷ったときは、他者に貢献することを指標にし、所属感を感じられることを目指すとよいでしょう。

まとめ

アドラーは、「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」として、対人関係の悩みに対する明確な答えを出しています。

対人関係の悩みを解決するためには、自分と他者の課題を切り分けるところから始め、他者を仲間だと見なして「自分の居場所がある」と感じられることを目指します。

他者を仲間と見なし、「自分の居場所がある」と感じるためには、自分を受け入れ、他者を信頼し、他者に貢献するということが重要です。

他者に貢献するということを指標にし、それさえ見失わなければ、たとえ他者から嫌われようが自由に生きてかまわないのです。

幸せになるためには「嫌われる勇気」を持つことが必要です。

人はいつからでも変わることができますし、幸福になることができます。

今回ご紹介した『嫌われる勇気』が、対人関係のあり方や幸せについて考え直すきっかけになればと思います。

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