シェアドリーダーシップとは?メリットや実現のためのポイントを解説

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近年、役職としてのリーダーだけではなく、すべての人がリーダーシップを発揮することが重要だという考えが広まっています。

そこで注目されているのが、リーダーの役割をメンバー全員で共有する「シェアドリーダーシップ」です。

この記事では、シェアドリーダーシップが注目される背景、シェアドリーダーシップのメリット・デメリット、実現するためのポイントを解説します。

シェアドリーダーシップとは

シェアドリーダーシップとは、メンバー全員がリーダーシップを発揮し、リーダーの役割をチーム全体で共有している状態を指します。

状況に応じてリーダーシップを発揮するメンバーが入れ替わり、リーダー以外のメンバーはフォロワーシップを発揮するといった、流動的で双方向なリーダーシップです。

ただし、組織やチームの目標を提示したり、最終的な意思決定を行うなどの役割は公式のリーダーが担うため、シェアドリーダーシップにおいても公式のリーダーは必要とされています。

注目される背景

これまでのビジネス市場ではゴールが明確になっていることが多く、一人の優れたリーダーが組織やチームを率いるスタイルで成果を上げることができました。

しかし近年は、VUCA(ブーカ)時代の到来や、AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)といったIT革新による業務のデジタル化などによって、明確なゴールを見つけるのが困難な状況になっています。

変化が激しく、多様化・複雑化した状況に対応するためには、メンバーひとりひとりの特性を活かし、それぞれが能力を最大限に発揮することが求められます。

そこで、メンバー全員がリーダーシップを発揮するというシェアドリーダーシップのあり方に注目が集まっているのです。

サーバントリーダーシップとの違い

サーバントリーダーシップは、リーダーが他のメンバーに奉仕することによって組織やチームを率いる、支援型のリーダーシップスタイルのことです。

上司が部下を支えるといったような、逆ピラミッド型の組織構造になるのが特徴です。

サーバントリーダーシップは一人がリーダーシップを発揮し、リーダーが中心となって他のメンバーをサポートするのに対し、シェアドリーダーシップはすべてのメンバーがリーダーシップを発揮し、メンバー同士がお互いにサポートし合うという違いがあります。

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シェアドリーダーシップのメリット

リーダーの役割をメンバー全員で共有すれば、どのような効果が得られるのでしょうか。

ここではシェアドリーダーシップのメリットを3つご紹介します。

チームのパフォーマンスが向上する

リーダーとして主体的に意思決定する機会が増えると、仕事に対する当事者意識や組織への帰属意識が強まり、業務へのモチベーションが向上します。

一人ひとりのモチベーションが上がり、個々人のパフォーマンスが向上することは、チームの生産性や業績の向上にもつながります。

また、メンバー同士で苦手な部分を補いあって、個々の能力を最大限に活かすことは、チーム全体のパフォーマンスを高めます。

多様なアイデアが生まれやすくなる

メンバー全員がリーダーシップを発揮する機会をつくることで、それぞれの自主性が育まれ、積極的に意見交換が行われるようになります。

意見交換が活発化すれば多種多様なアイデアが出るようになり、イノベーションの促進につながります。

一人ひとりの特性を活かした、柔軟で独創的なアイデアを活用することは、変化の激しい時代において重要なことです。

人材育成につながる

シェアドリーダーシップでは、役職や年齢、入社した年数に関係なく、すべてのメンバーがリーダーシップを発揮する機会を持つことができます。

若手の従業員もリーダーシップについて実践的に学べるので、次世代のリーダーとなる人材を育成するのに効果的です。

シェアドリーダーシップの注意点

シェアドリーダーシップはメリットも大きいですが、導入する際に気をつけるべきこともあります。

円滑に進めるためには、事前に注意点を把握しておきましょう。

定着までに時間がかかる

一人ひとりがリーダーシップを発揮するためには、メンバー全員に企業の目的を浸透させる必要があります。

また、お互いにサポートしあえる体制を作り、チームワークを高めることも重要です。

こうした環境を作り、シェアドリーダーシップを定着させるには時間がかかるでしょう。

経験の浅い人だと上手くいかないこともある

経験が浅い人の場合、リーダーとしてどのような行動をとるべきかわからず、上手くリーダーシップを発揮できないということも考えられます。

そのため、経験の長い人には若手をサポートすることが求められます。

経験のある人からしてみると、「自分がやったほうが早い」と思うかもしれませんが、次世代を担う人材を育成していくことは持続可能な組織にするために必要なことです。

実現するための5つのポイント

シェアドリーダーシップをうまく機能させるために意識したいポイントを5つご紹介します。

目標・ビジョンを共有する

ひとりひとりのメンバーが主体性を持って行動し、リーダーシップを発揮するためには、前提として全員が同じ目標・ビジョンに向かっている必要があります。

役職としてのリーダーには、目標・ビジョンを明確にしてメンバーに伝えることが求められます。

メンバーに権限を譲渡する

シェアドリーダーシップを実現するためには、エンパワーメントを高めることが必要です。

エンパワーメントは、ビジネスにおいては「権限委譲」「能力開花」といった意味で使われます。

メンバーに権限を譲渡することで、ひとりひとりが主体的に意思決定を行えるようになり、リーダーシップを発揮しやすくなります。

フォロワーシップを高める

フォロワーシップとは、組織やチームの能力を最大限に引き出すために、主体的にリーダーやその他のメンバーに働きかけてサポートすることです。

リーダーだけの力では限界があるため、周りのメンバーからのサポートは欠かせません。

メンバー全員がフォロワーシップを高め、お互いに支え合う関係をつくることで、組織力を高めることができます。

積極的にコミュニケーションをとる

サポートし合える関係をつくるには、お互いの特性を理解していることが重要であり、普段から充分にコミュニケーションをとることが必要です。

積極的なコミュニケーションによって信頼関係を築き、心理的安全性を高めることで、リーダーシップやフォロワーシップを発揮しやすくなります。

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実行して振り返る

リーダーとしての役割を何度も経験することで、リーダーとしての自覚が芽生え、効果的なリーダーシップのとり方が身についていきます。

経験から学びを得るには、「OODA(ウーダ)ループ」を活用するのが効果的です。

OODAループとは、Observe(観察)、Orient(状況判断)、Decide(意思決定)、Act(実行)のループを回す思考法のことです。

まとめ

シェアドリーダーシップとは、メンバー全員がリーダーの役割をシェアしている状態のことであり、VUCA時代の到来や業務のデジタル化にともなって注目を集めています。

シェアドリーダーシップをうまく機能させるには、リーダーシップを高めるだけでなくフォーロワーシップも高めて、サポートし合える関係をつくることが重要です。

全員がリーダーシップを発揮し、お互いに支え合えば、組織やチームの力を最大限に活かすことができるでしょう。

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