企業ができる物価高騰対策とは?

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現在、世界規模のインフレが起こっており、世界各地で物価が上昇しています。

日本でも、2022年には食品、日用品、光熱費などの値上げラッシュがあり、物価高騰は企業にも大きな影響をもたらしました。

この記事では、物価高騰の背景や企業への影響、企業ができる対策などを解説します。

物価高騰の背景

日本では、物価が上昇したのは2022年2月に開始したロシアのウクライナ侵攻が原因だとよく言われています。

ですが、2021年4月頃からアメリカやヨーロッパでインフレが起こっており、戦争が主な原因と言うわけではありません。

主な原因は、新型コロナウイルスの発生によるパンデミックだと考えられます。

新型コロナウイルスが拡大した影響で、外食するのをやめて、食材を買ってきて自宅で食事をとることが多くなりました。

外出してサービスを消費する機会が減り、その代わりにモノを消費する機会が増えたのです。

サービス消費からモノ消費に切り替わると、サービスよりもモノに需要が集中します。

需要が増えたことでモノの物価は上がり、インフレが起きているのです。

また、その他に円安も物価高騰に影響していると考えられます。

企業への影響

資源価格が高止まりして事業用電力や都市ガスが高騰しているため、多くの企業では固定費がかさむなどの影響を受けています。

帝国データバンクの調査によると、原油や燃料、原材料などの「仕入価格上昇」や、 取引先からの値下げ圧力等で価格転嫁できなかった「値上げ難」などにより発生した「物価高倒産」の件数は、2022 年は 320 件であり前年の 138 件から 2.3 倍に急増しました。

価格転嫁が十分にできない中小事業者にとって、物価高騰は大きな打撃となっています。

政府や日銀の動き

政府の動き

2022年10月28日に、「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」が閣議決定されました。

この総合経済対策は、

①物価高騰・賃上げへの取組​

②円安を活かした地域の「稼ぐ力」の回復・強化​

③「新しい資本主義」の加速​

④国民の安全・安心の確保​

の4つが柱となっており、中小企業への支援も盛り込まれています。

  • インセンティブの強化(中小企業向け補助金において賃上げのインセンティブを強化)
  • 賃上げ環境整備(公正取引委員会の執行体制強化などにより、中小企業等が価格転嫁しやすい環境を整備)
  • 中小企業・小規模事業者の生産性向上等の支援

「目下の物価上昇に対する最大の処方箋は、物価上昇を十分にカバーする継続的な賃上げを実現すること」であるとし、厳しい状況にあっても賃上げに踏み出す中小企業への支援策を強化する方針です。

日銀の動き

2023年1月17・18日に開かれた金融政策決定会合で、日銀は金融緩和策の維持を決定しました。

日銀の黒田総裁は「2023年度以降の物価見通しは目標の2%を下回る」という見解を示しており、金融緩和の拡大を続ける方針です。

また、会合後に公表した「経済・物価情勢の展望レポート」では、2022年度の消費者物価指数 (除く生鮮食品) の見通しを昨年10月時点の2・9%から3・0%の上昇に引き上げましたが、「上昇は次第に収まる」と見通しています。

黒田総裁の任期は今年の4月8日までであり、政府は後任に経済学者の植田和男氏を起用する人事案を提示しました。

総裁が交代すれば金融政策の修正が行われる可能性がありますが、混乱を起こさないように慎重に修正していくのではないかと考えられています。

企業ができる対策

価格転嫁を図る

原価が上がった分だけ商品やサービスの値段を上げられれば、収益性を改善することができますが、価格転嫁をするのは難しいと感じている企業も少なくありません。

取引停止になるリスクがあったり、うまくタイミングをつかめなかったりして、なかなか交渉に踏み切れないのです。

しかし、原材料費の高騰は続いており現状維持では厳しい状況です。

歩み寄る姿勢を見せれば折り合いがつく場合もありますので、「一緒に苦難を乗り越え、成長していきましょう」というスタンスで交渉するのが良いでしょう。

取引先と直接交渉するのが難しい場合は、税理士や中小企業診断士などの専門家に相談するという手もあります。

DXを推進

DXの推進により業務を改善することで、生産性が向上したり、コストを削減できるといったメリットがあり、物価高騰対策にも有効だといえます。

業務を効率化し、生産性が向上すれば粗利を増やすことができますし、ペーパーレス化することで、用紙代や印刷代といったコストを削減できます。

また、顧客情報などのデータをうまく活用し、新たな商品やサービスを創り出せば、収益の向上につながるでしょう。

支援金・補助金を活用する

物価高騰の影響を受けている事業者を支援するために、支援金を交付している地方自治体もあります。

支援対象者や申請期限は自治体ごとに異なりますが、要件を満たしていれば支援金を活用するのがおすすめです。

また、「事業再構築補助金」では、原油価格・物価高騰等の、予期せぬ経済環境の変化の影響を受けている中小企業等の事業再構築を支援するために、原油価格・物価高騰等緊急対策枠(緊急対策枠)が設けられています。

新分野展開や業種転換、業態転換といった、思い切った事業再構築を考えている中小企業に適している制度です。

まとめ

原油や燃料、原材料などの仕入価格が上昇したものの、うまく価格転嫁ができずにいる企業は少なくありません。

現状維持が厳しい場合は価格転嫁を図る必要がありますが、取引先との交渉は難しいものなので、交渉する際は専門家に相談するもの良いでしょう。

DXを推進したり、支援金や補助金を活用したりするのも、物価高騰対策として有効な手段です。

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