アサーションとは?
アサーションとは自己主張という意味で、相手のことを尊重しつつも、しっかりと自己表現するコミュニケーション方法のことです。
状況にあった適切な方法で自分の考えや気持ちを伝えることと、相手の話に耳を傾けることのどちらも大切にします。
アサーションが注目される背景
ハラスメントの問題
近年、ハラスメントによる精神疾患の発症や離職が問題になっています。
そこで、相手のことを尊重するコミュニケーション方法であるアサーションが注目されており、アサーションのトレーニングを行う企業が増えています。
テレワークの増加
テレワークが増加したことにより、オンラインでコミュニケーションをとる場面も増えました。
オンライン上でのコミュニケーションでは、対面でのコミュニケーション以上に言葉に気をつける必要があるので、アサーションが注目されています。
アサーションのメリット
対等な立場で話せる
ビジネスでは上司や部下、取引先など、様々な人と意見を交換する機会があります。
どのような立場の人が相手でも、お互いを尊重したコミュニケーションをとることが大切です。
アサーションは対等なコミュニケーションのために役立ちます。
相手に不快感を与えずに断れる
相手の顔色を気にして、上司や取引先からの依頼を断りきれないこともあるかと思います。
ですが、できないことははっきりと断らなくてはいけません。
相手の立場に理解を示しつつ、代案を提示すると良いでしょう。
コミュニケーションによるストレスを減らせる
自分の意見や要求を伝えるときに、強い言い方になってしまうと相手を不快にさせてしまいます。
また、言いたいことを我慢すれば、自分の意見が伝わらずストレスを抱えることになります。
お互いにストレスを感じないようにするために、アサーションを意識することが大切です。
自己主張の3つのタイプ
アグレッシブ
相手の考えや気持ちを尊重せず、自分の意見を押し付けるような主張の仕方をするタイプのことです。
大声で怒鳴ったり、他責的になったりすることが原因で、他者との間に軋轢を生むことがあります。
自分の意見を伝えられるのは良いことですが、相手を尊重することも大切です。
ノンアサーティブ
自己主張することを遠慮して、相手のことを優先するタイプのことです。
自分の言いたいことが伝えられずストレスをためてしまうことがあります。
また、はっきりと自己主張せずに曖昧な表現をするため、誤解を与えてしまうこともあります。
自分を犠牲にすることのないように、うまく自己表現する方法を身につけることが必要です。
アサーティブ
相手を尊重しつつ、適切に自己表現できるタイプのことです。
アグレッシブタイプとノンアサーティブタイプの良いところをあわせ持っており、バランスが取れています。
状況に適した方法で自分の意見や要求を伝えられ、相手と対等な関係を築けるので、目指すべきコミュニケーションスタイルと言えます。
アサーションのポイント
DESC法
DESK法は4つの段階で意見や気持ちを伝える方法のことで、D(Describe)E(Express・Explain・Empathize) S(Specify)C(Choose)の略です。
①Describe(描写する・記述する)
客観的かつ具体的に今の状態を伝えます。
②Express・Explain・Empathize(表現する・説明する・共感する)
主観的な意見や気持ちを感情的にならないように伝えます。
③Specify(提案する)
具体的かつ現実的な解決策や妥協案を提案します。
④Choose(選択する)
相手が提案を受け入れた場合と受け入れなかった場合を想定して、自分が取るべき選択を考えます。
【例】上司から急ぎの用事を頼まれたが引き受けるのが難しい場合
D:◯時からクライアントとの打ち合わせがあり対応が難しい状況です。
E:参加しないと迷惑がかかってしまいまうので、打ち合わせを優先したいです。
S:◯時までで良ければ対応が可能です。
C:急ぎであれば〇〇さんにお願いしてみましょうか?
I(アイ)メッセージ
I(アイ)メッセージとは、主語を「私」にしたメッセージのことです。
主語を「あなた」にするよりも「私」にしたほうが、相手を責めたり、意見を押し付けたりしている印象にならずにすみます。
【例】
主語が「あなた」の場合:(あなたは)まだ資料を作れていないのか
主語が「私」の場合:資料を◯時までに作ってもらえると私は助かるよ
まとめ
アサーションとは、相手のことを尊重しつつ、しっかりと自己表現するコミュニケーション方法です。
攻撃的になったり、自分の言いたいことを我慢したりすることなく、適切に自分の意見や気持ちを伝えることで、円滑な人間関係を築くことができます。
DESC法やIメッセージを意識するとアサーティブなコミュニケーションができるようになるでしょう。
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